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【シリーズ】おすすめの1冊『君は月夜に光り輝く』佐野 徹夜

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シリーズ『おすすめの1冊』第94回です。
僕がおすすめする本や、話題の本などをご紹介していきます。

今日、ご紹介するのは、佐野徹夜さんの「君は月夜に光り輝く」。

目次

『君は月夜に光り輝く』佐野 徹夜

感想

 卓也の1人遊園地が本当に面白い!1人パフェのくだりも、最後にまみずにまとめて伝えるときが一番笑えました。(詳しくは下のあらすじで!)それから演劇のシーンは感動と卓也のアドリブで超笑います。ひどいアドリブなのです。

 でも、彼女は徐々に弱っていきます。お互いに心が疲弊していました。そんなとき、卓也が看護師に叱られる場面があります。正直、一番しびれました。卓也が大きく変わったのはその瞬間だったと思います。もちろん、その看護師は決定的なことは言っていません。でも確かに卓也に引っかかりました。親でも友人でもなく、たまに見かける程度の看護師の一言。その一言がどうしても現実から逃げていた卓也の背中をドンっと押したのです。

 今どきの若い子の会話のノリでぼくは好きです。でも、病気が絡む恋愛って正直定番ですよね。死ぬまで楽観的で、死ぬ直前で不安になるか、吹っ切れるか。

 こんな風に死をテーマにした作品は要約やあらすじだけではほかの作品と代り映えしないのです。だから、結論が知れたらOK!というタイプならお勧めしません。

 なぜなら結末はやはり想像しやすいからです。でももし、主人公の気持ち、10代の子の卓也という人物とまみずという人物の性格や背景を踏まえた結末を知りたいなら、ぜひ読んでください。そこには「10代の葛藤」ではなく、「卓也の葛藤」、「まみずの葛藤」が表現されている唯一の作品だからです。

あらすじ

クラスメート
 僕は病気で何年も学校に来ていない女の子と同じクラスになった。その女の子は発光病という月に照らされると皮膚が光る病気でずっと入院しているらしかった。原因はわからず治療法もなく確実に死ぬ。とはいってもいままで会ったこともない子に正直興味はなかったが、恩人である香山のたのみでその少女に会いに行くことになった。

死ぬまでにやりたいことリスト
 入院中の女の子はいきなり僕の名前を下の名前で呼び、彼女もまた僕に下の名前で呼ぶように頼んできた。そして、まみずの死ぬまでしたいことリストを僕が代わりにこなして、まみずに感想を伝えるというなんとも奇妙な関係ができてしまった。最初の死ぬまでにしたいことは「遊園地に行く」だ。僕は1人でジェットコースターに乗り、「僕らの恋する初恋パフェ」を注文し完食した。まみずは僕のエピソードをけらけら笑いながら、「遊園地は一人で行くもんじゃないね。」というのだった。
 次は「新発売されるスマホを手に入れるために徹夜で行列に並んでみたい」だった。その次に亀も飼ったし、メイド喫茶でバイト(キッチンだけど)もした。
 まみずのためにそこまでする義理はないけれど自分から引き受けた。治らない病だから同情しているのか、まみずが大切にしていたスノードームを壊してしまったからなのか。でも、なんというか、亡くなった姉にどことなく似ていたからだろう。

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