どうする?あの人の困った行動 No.18―あいさつをしない②―【行動分析研究所】

こんにちは、りゅうまです。

応用行動分析という学問を日常で使うための研究をしていきます。
僕の経験や聞いた話、皆さんから寄せられた話を応用行動分析の視点で分析し解決策を探していきます。

どうする?あの人の困った行動 No.18

行動分析研究所
―あいさつをしない②―

はじめに

 前回、挨拶をしない小学生に対して挨拶を自分からするようになるためのアプローチを考えました。今回はその延長戦ということで、ぐれかけの中学生に焦点を当てて考えていきます。

場面

 ある生徒(以下りょうたくん)は、挨拶を全くしません。先日、そのことで「挨拶はきちんとしなさい。」と指導をすると次の日から唾を吐いて応えるようになりました。いくら指導しても治りません。あなたならどうしますか?

解説

まず、唾を吐くようになった原因を見ましょう。彼はそもそも挨拶をしませんでした。そして、指導されたことで唾を吐くという、もっとひどい行動を取るようになってしまいました。唾を吐くきっかけは先生からの指導でしょう。注意をする指導は、嫌子出現の弱化が起こります。つまり、「挨拶をしない。」という行動を叱ることで、抑えようとしているのです。

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この黄色いマーカーの文章。わかりにくいというか、矛盾と言うか、とにかく変な文章になっていますね。つまり、これは行動分析的にきちんと行動に焦点を当てられておらず、しかもアプローチの方法が間違っているということです。次に問題点を見れば、どう間違っているのかわかります。

問題点

  1. 「○○しない。」は行動ではない。
  2. 1つ目の問題点は、「挨拶をしない。」という事柄が、行動ではないということです。先日「死人テスト」についてお話しましたが、まさにそれです。問題を解決するためには「挨拶をする。」ためにどうしたらよいかというように考え方をシフトします。こうしないと、黄マーカーのようなへんてこな文章になってしまうのです。

  3. 叱っても行動を生みだすことはできない。
  4. 2つ目の問題点は、「挨拶をする。」という行動をしてほしいのに、行動を抑える手法を使ってしまっていることです。例えば、子どもが騒いでいた時に叱れば、静かになります。これは、叱られるという嫌なことが起こったので、騒ぐという行動が抑えられたのです。しかし、行動を生起させたいときに叱っても効果はありません。そのときの正しい手法は、好子出現の強化です。つまり、メリットがなければ人は行動しないのです。

話をりょうたくんに戻します。挨拶をしないりょうたくんに叱った結果、唾を吐くようになりました。彼が、唾を吐くメリットは何だと思いますか?

考えられることは、「注目されたい。」という要求です。
まず、挨拶を返さない理由も同じです。挨拶をしないことで、他の子とは違うという点を強調することができます。彼は、叱られるという形でもいいから注目してほしいと考えているのです。(意識的か、無意識的かはわかりませんが。)そこで、取るべき対策は、「消去と好子出現の強化」です。
唾を吐くという行動を無視し、いい行動が出たときに強化をするという方法です。
実際の場面を見ながら、対応を考えていきましょう。

場面

①先生「おはようございます。」
りょうた ぺッ
先生は無反応

次の日
②先生「おはようございます。」
りょうた ペッ(先生に向かって唾を吐く。)
先生は無反応

次の日
③先生「おはようございます。」
りょうた なにもしなくなる。

次の日
④先生「おはようございます。」
りょうた「……。おはよう。」
先生「挨拶返してくれて嬉しいよ。今日も頑張ってね。」

④の状態になれば、どんどん挨拶がよくなっていきます。
では、③と④の間に何があったのでしょうか。実は今回の場面は、実際にあった話で、行動分析に則ったアプローチまでしているケースです。文章内では省略しましたが、実際は一か月くらいで成果を出しています。おさらいすると、唾を吐く行動を無視し、挨拶をするようになってから、褒めたり、会話をしたりして挨拶をする行動を強化しました。

考えたいことがあります。③までは、唾を吐く行動に対してのアプローチで、唾を吐く行動を消去するという目的があります。そして次のステップは、挨拶をするという行動を起こすために、メリットを置くことです。しかし、③のあと特にこちらが仕掛けなくても、りょうたくんは自然と挨拶ができるようになっています。

これは僕の推測ですが、叱られないということがりょうたくんにとって信頼関係を築いていたのかもしれません。挨拶をしないと普通の先生は叱るでしょう。今までもそうだったのかもしれません。しかし、この先生は叱らない。そこに魅力を感じていたのかもしれません。この推測が正しい場合、その先生と仲良くなりたいという気持ちが挨拶という行動つながったと解釈することができます。

プラスワン

こんなことも考えることができます。―りょうたくんが挨拶をしなくなった理由―

りょうたくんが挨拶をすると、無視をされた。大きな声で挨拶をしても誰も答えてくれなかった。このような経験があると、挨拶をするという行動はなくなってしまいます。また、行動を抑える薬も使うことができますよね。挨拶をするたびに叱ったり、罰を与えたりするというものです。多少前者があり得るかもしれませんが、後者はまずないでしょう。とはいえ、前者もあまり考えられません。例えば、家庭で無視されていても学校で挨拶を無視されることはないからです。ただ、愛着形成、鬱、など考えだせば、さまざまな視点で考えることができます。

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次回

どうする?あの人の困った行動 No.19
―あいさつ運動の効果―

みなさんの母校では挨拶運動ってありましたか?ぼくの母校では交通委員と先生が月の最初の1週間を挨拶習慣として、校門に立って登校する生徒に挨拶をするという取り組みがありました。それも行動分析をしたいと思います!効果があるのか、ないのかがはっきりするかもしれませんね(笑)。

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