どうする?あの人の困った行動 No.24―大きな声を出す子―【行動分析研究所】

こんにちは、りゅうまです。

応用行動分析という学問を日常で使うための研究をしていきます。
僕の経験や聞いた話、皆さんから寄せられた話を応用行動分析の視点で分析し解決策を探していきます。

どうする?あの人の困った行動 No.24

行動分析研究所
―大きな声を出す子―

はじめに

声のボリュームの加減がわかっていない子や、やたら大きな声を出す子と出会ったことありますか?そんなに大きな声を出さなくてもいいよ、と伝えてもなかなかなおりませんよね。しかも、子どもの大きな声って結構不快なものです。

今回は、今までのおさらいです!いろんなパターンのアプローチを考えてみてください。
では行きましょう!!

問題点を明確にする

大きな声を出す前後に何が起こっているのかを観察しましょう。きっと大きな声を出す前は、本人に困ったことが起きていて、大きな声を出すことでそれが解決しているのだと考えられます。

ケース1

例えば、図工の工作中、紙を切っている最中に失敗し大きな声が出たとします。この場面では、次のことが考えられます。

大きな声を出すことで、先生が「どうしたの?」と聞きに来てくれて、状況を見た先生が新しい紙を用意してくれた。

このように、子どもが大きな声を出してから対応していれば、たとえ「大きな声をださなくてもよろしい。」と注意しても、その注意は意味がないと言わざるを得ません。

ケース2

大きな声を出すのは「わたしの話を聞いて!」というメッセージかもしれません。

ほかの子と話をしていたり、目の前の仕事や家事が忙しかったりすると、なかなかゆっくり子どもの話を聞くことはできません。そこでやってしまいがちなパターンが次です。

子どもが「ねえねえ、先生。」と普通の声で話しかけています。もし、他の子と話していたらどうしますか?対応としては、おそらく2パターン考えられるでしょう。

1つは「今お話ししているからあとでね。」と伝える。2つめは「無視をする。」だと思います。それで、収まればよいですが、たいていどちらの場合もこうなります。

「ねえねえ!!先生ってば!!!」
「もう、なに!?今忙しいの!!」といって、その子の話に耳を傾けてしまうのではないでしょうか。こうなっていれば、要注意です。その子の中では、大きな声を出せば、どんな時でもこちらの話を聞いてくれるという学習をしてしまっているからです。

「大きな声を出さない。」は分析可能か?

では、大きな声を出すという行動を改善する方法を考えていきましょう。
まず、大きな声を出さないは、行動でしょうか、行動ではないでしょうか?
死人テストを思い出してください。死人に大きな声をださないことはできるでしょうか?

できますね。なので、これは行動とは認められません。また、否定形は分析しにくいともお伝えしました。なので、目標とする行動を考え直しましょう。

例えば、失敗したときに大きな声を出す場合は「手伝ってと言葉で伝えることができる。」という目標がよいでしょう。また、話しかけられても待ってもらいたいときがある場合には、「○○して待っていてね。という言葉かけに応じることができる。」などの目標がいいでしょう。

応用行動分析的アプローチのいろいろ

  1. 消去法
  2. いわゆる、教育的無視と呼ばれるものです。大きな声を出しても、無視をします。しかし、一時的により大きな声を出す可能性があるので、それでも無視し続けることが可能な場合のみ使用してください。

  3. レスポンスコスト
  4. 最初にご褒美を提示しておいて、大きな声を出すと、ご褒美を取り上げるという方法です。例えば、シールを5枚与えて、大きな声を出すたびにシールを奪います。最後に残ったシールに応じたご褒美を与えます。

  5. 嫌子出現の弱化
  6. 叱るという方法です。大きな声を出した直後に叱ります。そうすると、大きな声を出すと叱られるという「嫌子」が現れるので、大きな声を出す行動を抑制できます。ただし、繰り返し叱るような状態であれば、次第により大きな声で叱らないと効果が出てこなくなってしまいます。2~3回叱って行動を抑えられなければ、別の方法を考えましょう。

  7. 好子出現の強化
  8. 消去と組み合わせてください。例えば、本人が失敗したときに大きな声を出すとします。もし、本人が失敗をしたときに「手伝ってください。」と言葉で伝えられた時に褒めたり、シールをあげたりするなどして行動を強化します。

  9. その他
  10. もし、他の子と話していたり、目の前の仕事をしたりしている場合は、どのくらい待てばよいかということと、待っている間に何をしておけばいいのかを教えましょう。こうすることで、見通しがもてるのでしつこく話しかけてくることも減り、大人は目の前のことに集中できるとともに、本人のストレスも減りますよね。

    まとめにかえて

    今までたくさんの応用行動分析に特化した、問題行動に対するアプローチ方法を紹介してきました。もちろん、人の行動は一つの学問で語れるほど単純ではありません。しかし、逆に1つの学問でたくさんのアプローチ方法があることを知り、そして知れば試したくなる方法もあったのではないでしょうか。その試したい!というワクワク感と、今まで「あー、どうしたらいいのかな。」と悩んでいたときのことを思い出してみてください。雲泥の差ですよね。

    引き出しが増えることは希望が増えるということです。これがだめなら次はこれ!というアイデアが浮かべば浮かぶほど、問題行動の対処は本当に楽しいものになります。そして、そのアイデアは知識がないと生まれません。教育界はまだまだ、経験主義のように、今までの経験や先輩方の経験から学ぶという方法が大半を占めているように感じます。

    経験から学ぶことは、具体化されており吸収しやすいというメリットがあります。しかし、効率が悪くまた、思考が偏ってしまうというデメリットもあります。学校教育は、心理学、脳科学、ビジネスの視点で学ぶ機会が必要だと感じています。

    今後について

    さて、第38回目を迎えた『行動分析研究所』ですが、今までは応用行動分析のみを使ったアプローチ方法をご紹介してきました。しかし、「まとめにかえて」でも触れたように、人の行動は1つの学問で語ることはできません。ですので、どんどん領域を広げていきたいと考えています。人の行動についてもっと、いろんな知識を得てアプローチしていきます。例えば、モチベーションの維持やフロー状態の作り方など、心理学の知見やドーパミンやセロトニンといった脳科学と行動との関係など、広く人の行動について分析していこうと考えています。
    どうしても、僕は子どもが好きなので子どもを取り扱うことが多くなってしまいますが(笑)。
    ひとまず、来週と再来週は番外編です。アニメを行動分析の視点で考えます。ゆるめの会です!

    コメント大募集!

    皆さんの経験をコメント欄やお問い合わせにて教えていただければお答えすることもできます!
    ぜひ、お寄せください!

    次回

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     私的なことを挟みますが僕は、アンパンマン、ドラえもん、クレヨンしんちゃんを見ることができないのです……。くそ真面目に、もっとこうしたら子どもたちは伸びるのに!!と真剣に考えちゃって、大人たちの対応にいらいらしちゃうんです(笑)。という訳で、せっかくだからその3つのアニメを分析して、登場人物の大人たちがいかに間違っているか徹底的に
    あばいていきます。タイトルの通り、来週はアンパンマンです。

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