【シリーズ】おすすめの1冊『ナイフ』重松 清

こんにちは、りゅうまです。

シリーズ『おすすめの1冊」第12回です。
僕がおすすめする本や、話題の本などをご紹介していきます。

今日、ご紹介するのは重松清さんの「ナイフ」。

『ナイフ』重松 清

いじめの話。被害者、被害者の幼馴染、被害者の父親。いろんな立場の人間がいじめに直面している。いじめを受けている子どもの父親はとても弱い存在として描かれている。子どもがいじめを受けていると知っていながら守るために動こうとしない。現実を受け入れられない父親とこの現状から逃げ出せない子どもたち。男でも女でも誰かに相談するなんてカッコ悪いと思ってしまう。いや、誰かに相談すればさらにいじめがひどくなるのではないかという思いが強くなる。だって先生って少し注意するだけで終わりそうなんだもん。実際はわかんないけど。でもそんな賭けはできない。なら今のまま我慢すればいつかは飽きるかなって思っちゃうんだよね。それでいて、自分で相手に「やめろ」なんて言えない。
父親は弱い。息子に期待するあまり、いじめを認められないでいる。なんとかなる、自分で解決しなければ男じゃない。そんな言い訳を繰り返して被害者を追いつめているのは加害者の同級生だけでなく父親もである。ただ、勘違いしてほしくないのは被害者は別に仲裁に入ってほしいと思っているわけじゃない。被害者の助けてほしいというメッセージは転校したいとか叱ってほしいとかじゃない。ただ、ふつうに気の合う友達数人と学校生活を送れればいい。それだけなんだ。だから大げさにとらえないでほしい。親が学校に殴り込みにいくとかそんな助け方を求めていないのに・……。
被害者はいじめられていても加害者を恨まないときがある。ほんとはこいつと仲良くしたいのに。だからどんなにひどいことをされてもそいつを友達と思っている。そんなの友達じゃないよって言われても、認めない。いじめって認めたら崩れていくものがたくさんあって、受け止めきれずにどうなるかわからない。一つわかるのはとてもそこにはいられなくなるということだ。ほんとはとてもしんどい。でも、友達だから少々我慢すれば大丈夫。いい子にしてたら、きっと神様が妹を助けてくれるから。
上の文は、「ナイフ」「キャッチボール日和」「エビスくん」の感想とあらすじである。ほかにも「ワニとハブとひょうたん池で」と「ビタースィート・ホーム」が収録されている。
「エイジ」の感想をアップした後も重松作品に触れた。「半パンデイズ」「トワイライト」「青い鳥」。とにかく重松清は人間の弱さを知っている。小学生だろうが大人だろうが、誰だってずるい部分があるし、それを隠そうとするし、相手のせいにするし。それを乗り越えるってどうすればいいのだろう。大きな成長を感じる場面はほとんどない。気が付いたら、成長しているというか、最初とは違う主人公の雰囲気がそこにある。読み終わって振り返ると気づくときもある。結局目に見える成長ってないのかなって思っている。

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