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【シリーズ】おすすめの1冊『博士の愛した数式』小川 洋子

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シリーズ『おすすめの1冊』第92回です。
僕がおすすめする本や、話題の本などをご紹介していきます。

今日、ご紹介するのは、小川洋子さんの「博士の愛した数式」。

目次

『博士の愛した数式』小川 洋子

感想

 前向性健忘症を知っていますか?
 前向性健忘症とは、事故により物事を覚えられなくなる障がいのことです。
 記憶喪失とは違って、事故より前のことは覚えています。

 僕はこの、前向性健忘について小学生の頃、母親から聞いたことがありました。
 記憶喪失の話を聞いた後、「でも逆に覚えられへん人がおんねん。」と。
 そのときの僕は「覚えられなくて大変だな。」くらいにしか思えなかったものの、その会話は今もふと思い出す会話です。

 それから、小説で「僕は何度でも君に初めての恋をする。」やドラマ「50回目のファーストキス」、そして今回の「博士の愛した数式」で覚えられないお話は4度目となりました。
 「僕は何度でも君に初めての恋をする」と「50回目のファーストキス」は1日で記憶がリセットされます。博士は80分です。「50回目のファーストキス」の中には10秒という方もおられました。博士もそうですが、みんなメモをして出来事をとどめておこうとします。

 確かにメモは残ります。でも、「○○さんと知り合いになった。」というメモに親近感は湧きません。そう、知り合いだと理解しても感情がついていけないのです。

 もっと想像してください。朝起きるたびに(博士は80分ごとに)まず自分の記憶がもう定着しないという事実と向き合わなければならないのです。
 みなさんと同じように、僕も想像することができません。

あらすじ

 新しい仕事場は、数学者の家。家政婦である私は、仕事に自信を持っていたが今度の相手は手ごわそうだ。今まで担当してきた家政婦たちがすぐに辞めていっている。 

 博士の背広には「僕の記憶は80分しかもたない。」というメモがあった。彼は事故をきっかけに記憶が80分たつと事故を起こす前の日にリセットするらしかった。
そして、メモに私の似顔絵と「新しい家政婦さん」という言葉が加わった。

あるときふと子どもの話をすると、博士は慌ててすぐに家に帰るように言った。「子どもはいかなる時もひとりぼっちにしちゃいかん」とほとんど追い出されるような形で仕事場を後にした。

 仕方なく、息子を仕事場に連れていくことにした。博士は、息子を毎回歓迎してくれた。母子家庭で育った息子にとって、博士に抱いてもらうのはとても嬉しかったのかもしれない。それに野球という共通の趣味も見つかり、息子と博士は大の仲良しになった。
 
 ある日、博士と息子の思い出つくりにと野球観戦へ。息子は喜び、博士の意外な行動に笑い、いろいろな制約がある中で楽しむことができた。でも、帰ってきて博士は熱を出してしまった。看病の買いがあり、次の日には熱が引きましたが、私は博士の家政婦をクビになってしまった。

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