シリーズ『おすすめの1冊』第18回です。
僕がおすすめする本や、話題の本などをご紹介していきます。
今日、ご紹介するのは重松清さんの「青い鳥」。
目次
『青い鳥』重松 清
吃音をご存知でしょうか。いわゆるどもるという症状です。
村内先生は吃音。だけど国語の先生。しゃべるのは得意じゃないけれど、だからこそ大切なことしか話さない。
『拝啓ねずみ大王さま』は小学生の頃に父親が自殺した少年が主人公である。少年が私立を辞めて公立中学に通うお話。少年は周りを見下していた。頭が悪いなあと。クラスにもなじもうとせず、距離をわざと置く。
今年もムカデ競争の練習が始まる。だが、少年は一切協力しない。一生懸命とかみんなで協力するとかがムズムズする。『青い鳥』では野口君が自殺未遂をして転校してしまった後のお話。村内先生は転校していった野口君の席をクラスに戻す。そして、毎朝誰も座らない席に挨拶をする。それが、クラスメートの責任だというのである。『ひむりーる独唱』はナイフで先生をさしてしまった少年の話。『ハンカチ』はいじめをしていたことの反省の言葉をみんなの前で言わされて場面緘黙(ある特定の場所でしゃべれなくなること)になってしまった女の子の話。中学生はクラスにグループがあって、部活でグループがあって、さらに塾でもグループがあるかもしれない。だけど本当は孤独なんだ。みんな自分のことで精いっぱい。
村内先生は熱血教師ではない。心に響く名言を言ったり感動的なことばを言ったりするわけでもない。子供たちにはなんでこんなのが先生になれたのか、などと後ろ指を刺されながら村内先生はこう答える。「ぼっぼぼぼ、ぼくはた、た大切なことを教えにききききた。」