【シリーズ】おすすめの1冊『半パン・デイズ』重松 清

こんにちは、りゅうまです。

シリーズ『おすすめの1冊」第44回です。
僕がおすすめする本や、話題の本などをご紹介していきます。

今日、ご紹介するのは重松清さんの「半パン・デイズ」。

『半パン・デイズ』重松 清

 東京で生まれたヒロシは小学一年生になる前に瀬戸内に引っ越した。方言もわからないし、土地柄もわからない。最初はよそ者扱いされるけど、東京に帰りたいって本気で思うけど、乗り越えていく。ヒロシの小学校六年間の話である。

 『半パン・デイズ』の時代は今より40年ほど前だ。今とは違う。今はもう喧嘩しながら育む友情なんてほとんどないのかもしれない。
 ヒロシは勉強がよくできる、真面目で正義感が強い。一方よっさんは運動が大好きで、負けず嫌いで、めそめそしている男が大嫌い。そんな性格。もちろん、自然とリーダー格になるタイプだ。そんなヒロシとよっさんの距離感は不思議だ。普通に考えると絶対に合わない。人間関係の親密過ぎない親しさとか、お互いがお互いの距離をわかっている様子とか、いろいろあるけど、ヒロシとよっさんは明らかに仲が悪い(笑)。だけど、お互い嫌いではないどころか、お互い必要としている。っていう、不思議な距離感なのだ。なんとなくわかるって人もいると思うけど、ぼくは正直わからない。(笑)
 でも、そういうのもありそうだな、くらいには想像できる。だけどまさに、こういう小学生男子の一見矛盾した関係が現代にはないものかなとも思う。

 小学生の記憶はぼくでも10年くらい前になる。もう、ざっくりとしたこととか、一部の印象に残ったことしか思い出せず、しかもそれが正しいかどうかも分からないくらいである。でも、『半パン・デイズ』は、小学生ならではの正義感とか(あの、「静かにして!」とか、「先生に言うよ!!」っていうあれですね。懐かしい。)親とか友達に対する想いとかを思い出すことができる。描かれている時代と僕が育った時代は違うはずなのにこのなんでもないような葛藤は、本当に当時のぼくとリンクする。例えば、自分の本音よりも仲間外れにされないことの方が優先されるようなこととか、注目されたいけど、されたくないとか。

 彼らと僕らで経験することは全然違うと思う。だって、上級生に喧嘩を売るとか、放課後に野球の特訓なんて考えられなかったし。もちろん、僕の小学校が当てはまらなかっただけの話かもしれないけども。
 ただ、経験する場面が違っても浮き出てくる人間関係とか、感情というのはあまり変わらないのかなってことに気付いてくる。それくらい、「こんなことぼくも思ってたな」とか、「ヒロシ、俺もお前の立場ならそう思うわ」とか、よっさんの強がりとか垣間見える隙といった共感に次々と出会えるのである。不思議だ。

 小学校六年間で人はずいぶんと変わる。でも、自分で振り返るのって結構難しくて、例えば小学校1年生と6年生の違いが分かっても、いつから、周りをみて手を上げるか上げないかを決めるようになったとか、なんとなくおとなの言っていることに納得できなくて、でも言い返すこともできないあの葛藤もいつのまにか現れる。あいつとは合わないし、関わりたくないけど、あの輪には入ってみたいとか。そして、小1と小6で感情がまるで違うことに今更気付く。
 なんだかんだ、小学生も大変だったなと思う。

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