【シリーズ】おすすめの1冊『十字架』重松 清

こんにちは、りゅうまです。

シリーズ『おすすめの1冊」第45回です。
僕がおすすめする本や、話題の本などをご紹介していきます。

今日、ご紹介するのは重松清さんの「十字架」。

『十字架』重松 清

 幼馴染のフジシュンは、14年の生涯を自ら閉じた。遺書には 《三島武大。根本晋哉。永遠に許さない。》という言葉と、《真田裕様。親友になってくれてありがとう。》という言葉。そして《中川小百合さん、迷惑をおかけして、ごめんなさい。誕生日おめでとうございます。幸せになってください。》。
 ぼくは、フジシュンと幼馴染だし、同じクラスだったし、一緒に遊んだこともあった。けど、仲が良かったのは小学校までの話だ。中学に上がってからは、会話すらまともにしていない。それは、同じクラスになっても変わらなかった。だから、フジシュンがぼくのことを親友となぜ書いたのか、わからない。正直、迷惑だ。
 いじめを止めなかった「親友」であるぼくは、フジシュンを見殺しにしたのも同然なのか。だけど、親友じゃない。でも、いじめを見過ごしたことも事実。いろんな言い訳が思いつく。だけど、思いついた言い訳で納得してしまえば、人間としての何かが壊れてしまいそうになる。
 家族に恨まれ、記者に冷ややかに見られ、自殺した同級生に対して十字架を背負う。
 
 フジシュンは、真田裕に覚えていてもらいたかったのだろう。きっと、苦しんでほしいわけでもなく、ただただ、家族以外に覚えていてほしかった唯一の人なのだと思う。だって真田裕はフジシュンの家族と会わない選択もできたのに、きちんと向き合ってくれたんだから、中学では話をしていなくてもやっぱり親友なのかもしれない。

 自殺は現実でも後を絶たない。特にいじめが原因の自殺だと学校も隠そうとする節がある。いじめをする側も、傍観者も学校もすべては自分を守るための行動なのだろう。傍観者は何もしないまま、ただ見て、結局関係ないと言い、挙句忘れていく。『十字架』はそんな傍観者の無責任の罪を問う。そして、遺書に名前を書かれたことにより真田は忘れることを許されなくなってしまった。重く苦しい十字架を背負わされるはめになった。そして、家族の苦しみに触れることでたくさんのことを考えた。大人になるにつれ、真田はそれでよかったと思うようになる。
 でも、実際の傍観者は忘れる。そして、何も感じず、「かわいそうに」と他人事として、あるいは身内でなくてよかったと安堵して、その場を後にする。
 大津のいじめ。川崎区川中島のいじめ。大津は自殺で、川中島は殺人であるが、彼らの同級生は忘れてしまってはいないだろうか。なにもしなかったことをきちんと後悔しているだろうか。ぼくは、当事者がきちんと向き合っていることを願う。
 僕はいじめを聞くと心が痛むからいじめをなくしていきたい。
と思っていても、結局、実際には思っているだけかもしれない。

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