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【シリーズ】おすすめの1冊『空より高く』重松 清

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シリーズ『おすすめの1冊』第46回です。
僕がおすすめする本や、話題の本などをご紹介していきます。

今日、ご紹介するのは重松清さんの「空より高く」。

目次

『空より高く』重松 清

 特に将来やりたいこともない高校生が、大人になっていく。不良、というわけではない。ただ何となく高校3年生になった。そんな少年、ネタローのお話。
 彼の住んでいる玉川ニュータウンはすっかりさびれてしまった。そして、彼の通う東玉川高校、通称トンタマは今年限りで閉校が決まっている。そんな終わりに向かうだけの高校生活だったが、いつしか『始まり』の物語になっていく。

 きっかけは、2学期から来た、非常勤のジン先生。彼は東玉川高校の第一期生だ。卒業までになにか始めてみろよという、ジン先生。ジン先生に何か感じた者や、無視する者。何か引っかかるけど行動できない者などいる。ネタローは、後者だ。でも、ジン先生がきっかけなのか、友達は少しづつ『始めて』いて気付けば、ネタローは置いていかれていた。でも、実はネタローも気づかないうちに『始める』きっかけはあったのだ。それに気づかなかっただけ。もしかしたら、気付かないようにしていたのかもしれない。
 でも、そんな友だちに影響されて、トンタマの歴史、ジン先生の今と過去に出会い、思いを巡らせるなかでネタローにも、ようやく『始まりウイルス』が効いてくるのだった。

 本当は不器用でカッコ悪いけど、カッコ悪いのがいやでクールぶって、結局何もしないってあるかもしれない。ネタローのような「省エネ高校生」もいれば、「だりぃ」といって悪ぶって反抗している高校生もいるだろう。青春とか思春期とかってなんなんだろう。べつに意味もなく苛々しないけど……。言葉が自分に当てはまらない感じ。みんなも、「青春」って言葉は冗談交じりで言うくらいだし、今これが青春だなんてあんまり思わないと思う。でも、ネタローたちをみているとこれが青春なのかな、なんて思う。でも、なんだかんだ中年のジン先生もトンタマにきて青春しているような、気もしてきて(笑)。読んでいくと青春ってやっぱりなにかを『始める』ことなのかなと、思いっきり看過された答えになる。

 でもふと、自分のことを振り返るとぼくのいわゆる青春は、部活に打ち込んだのもそうだし、友達と映画を見たこともそうだったし、友達との関係に悩んだことも、将来役に立つとか考えずに受かるためだけに勉強してたこともなんとなく青春としてカウントしたくなる。
ってなるとぼくの青春は「いっしょうけんめい」って感じかな。

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