シリーズ『おすすめの1冊』第56回です。
僕がおすすめする本や、話題の本などをご紹介していきます。
今日、ご紹介するのは重松清さんの「ニワトリは一度だけ飛べる」。
『ニワトリは一度だけ飛べる』重松 清
左遷部署に異動となった酒井のもとに謎のメールが届きます。メールは左遷部署のメンバーを『オズの魔法使い』の登場人物になぞられて何かのメッセージを伝えようとしているようです。そして、「悪い魔法使い」がなにか悪いことをしようとしているようなのです。
酒井祐介(臆病なライオン)
いろいろ思うことがあっても口に出せないタイプ。自分の情けなさに日々嫌気がさしている。
メールのメッセージはただのいたずらではなさそうだ。でも、「悪い魔法使い」とは誰のことなのか。イノ部屋の雰囲気は悪くなる一方だし、どうしたらいいんだろう。
羽村史夫(知恵のないカカシ)
かつては、出世コースのトップにいた羽村。鎌田が本部長になってからは急落し、イノ部屋行きに。短期で、深く考えずに行動するところが玉に瑕。でも、仕事に対する情熱はまだ、冷めきってなかったのかもしれない。
中川政夫(心を失くしたブリキの木こり)
大阪から自ら希望してイノ部屋に転勤してきた若い社員。どうも、とっつきにくいというか、ものの言い方がいちいちとげがある。
さらに、病院の給食システムを調べるといってよく出張に出る。改革のためらしいが。
江崎三郎
イノ部屋の室長。この人はなぜ、イノ部屋に異動になったのだろう。たしかにミスが多すぎて、しかもおどおどするから前の部署も、そんなに大したことなかったと聞いている。
メールの送り主
どこの誰なのか、なぜか酒井のことをよく知っている。そして、いろんな情報を酒井に教えてくれる。
送り主は、おそらく会社のトップと近い存在。さらに、酒井に一度助けられたと言っています。全く見当がつきませんが、敵ではないような……。ときに見下し、ときに助ける送り主の目的はなんなのか。
本部長 鎌田
年棒3000万で雇われたとのうわさも立つ男。首切りの鎌の異名をもつ。じわりじわりと優しくイノ部屋の3人を追い詰めようとする。
イノ部屋のこのチームは本当に団結力がありません(笑)。本編の中でも団結したのはほんの一瞬だったような気がします。カカシさんは突っ走るし、ライオンさんは一歩が出ないし、ブリキさんは協力しないしでもうめちゃくちゃ。というかそもそも同じ場所にみんなが集まったことが少ない。でも、同じ境遇の仲間同士、細い細い糸みたいなものでつながっていたのかもしれませんね。バラバラのように見えて最後は1つにまとまっていました。