シリーズ『おすすめの1冊』第69回です。
僕がおすすめする本や、話題の本などをご紹介していきます。
今日、ご紹介するのは、貴志祐介さんの「新世界より(下)」。
テレビアニメにもなり、現在(2019年10月11日)Amazonプライムビデオでも公開されています。
Amazonプライムビデオ:「新世界より」
『新世界より(下)』貴志 祐介
あらすじ
早希と覚は26歳になった。
八丁標の外では、虎視眈々と計画を遂行するバケネズミたち。そうとは知らずに、バケネズミの不審な動きを軽視する人間たち。その慢心が、何度も訪れていた危険な若い芽を摘むチャンスを逃していたのだった。
夏祭りの夜、ついに事件は起きた。バケネズミが神栖66町を襲う。バケネズミの主将、野狐丸によって何重にもかけられた罠は、慢心し、かつ戦闘慣れしていない人間たちを徐々に追い詰めていった。さらに、バケネズミ側に悪鬼がおり、神栖66町の人々を恐怖に陥れるばかりか、最高の呪力使いの2人も悪鬼やバケネズミの罠にやられ混乱を極める。多くの犠牲を出し続ける神栖66町から早希と覚は、何とか逃げ出し、唯一の勝機であろうサイコバスターを求め、荒廃しきった東京へと向かう。
解説
人口5万人にまで減った千年後の日本で、その小さな町、(茨城県)神栖66町が舞台です。たくさんの要素が詰まっている物語だと思います。日本史、差別、戦争、奴隷、社会主義、デモなど人間社会の混沌としている部分が随所に現れます。呪力といういわば魔法を使える千年後の日本ですが、現代の課題をこのようなカタチでおさめていることに感動しました。
呪力という武器に慢心する人間と対照的に、勝利のために犠牲をいとわず攻撃を仕掛けるバケネズミはまさに絶対王政下の貴族と民衆を彷彿とさせます。
悪鬼や業魔という病に対する過剰なほどの対策によりいったい何人の子どもを犠牲にしてきたのでしょう。呪力を手にしても、また呪力で人を殺せないようにしたとしても、傲慢、差別意識、など人間の弱さは、千年間歴史を積み重ねても消え去ることはないのです。
また、男女の恋愛がほぼ禁止されている全人学級で、主人公、渡辺早希ら1班の恋愛模様にも注目です。12歳、14歳の葛藤、不安、苛立ち、焦燥、甘く切ない描写は、いったいどのようにぶつけられるのでしょうか。
感想
上中下、合わせて約1400ページのボリュームに初めは思わずため息をつきましたが、面白そうだったので、ページをめくることにしました。すると、本当に面白さが止まりませんでした。
主人公の悪い予感をあらわすセリフがかなり多く出てきますが、それが巻をまたいで解決されたりするもんだから、ずっと頭の片隅にある状態です。しかも、わずかなページの中でも、どんどん新たな事件が舞い込んできて気が気じゃありませんでした。
構想30年という大傑作、『新世界より』は、どの部分を切り取っても深くて面白かったです。
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