シリーズ『おすすめの1冊』第77回です。
僕がおすすめする本や、話題の本などをご紹介していきます。
今日、ご紹介するのは、奥田健次さんの「メリットの法則―行動分析学・実践編―」。
『メリットの法則―行動分析学・実践編―』奥田 健次
こんな人いませんか?
①すぐに弱音を吐く会社の同僚
②言っても言っても家事を手伝ってくれない夫
③いたずらが過ぎる子ども
この3つの性格をどうすれば変えられるのか考えてみよう。
まずは① すぐに弱音を吐く会社の同僚
弱音を吐くメリットは、おそらく弱音をいた後でだれかに「大丈夫?」と励まされるかだろう。本人にとって励まされることがメリットならば、励まされたいと思ったら弱音を吐くことを繰り返すのである。いわば味を占めた状態だ。
この場合、対処法は2つある。1つ目が弱音を吐いても無視をすること。2つ目が弱音を吐くたびにデメリットを与えるということだ。デメリットとは例えば弱音を吐くたびに上司から「うるさい」と言われたり、異性から「頼りないね」と言われたりするなどだろう。そうすると、弱音を吐くということのメリットがなくなり、次第に弱音は吐かなくなる。
これを専門用語で行動の弱化という。
次は② 家事を手伝ってくれない夫
家事を手伝うことのメリットを考えなければならない。家事が好きな人は、おそらく家事をすることで家がきれいになるというメリットがある。もしくは、客人に褒められるというメリットもあるかもしれない。しかし、きれいになることが必ずしもメリットにならない人もいるのはイメージできると思う。テレビでもとっ散らかっている部屋を撮影したりしているくらいだ。むしろ、家事をすることで時間が奪われるというデメリットや自分が動かなくても物が取れるというメリットが強い可能性がある。
そこで、家事をしない人にとって、家事をすることでどんなメリットが有効なのかを考える必要がある。
考えられるメリット
①褒められる・感謝される。
その人にとって有効な褒め方は違う。もしかしたら、「ありがとう」だけでよいかもしれないし「あなたが洗った方が上手」とまで言わなければならないかもしれないがそれはパートナーを観察してあげてください。
②家事をするメリットを直接伝える
もし相手が物をよく無くすのであれば無くさないというメリットが見つかる。
部屋が明るくなった。
気分がすっきりする。などであろう
③欲しいものが手に入る
家事をしてくれたお礼に相手の好みのものをプレゼントする。(ただし、うまくやらないとプレゼントがないと家事をしないということにもなりうる。)
これで行動が変われば家事をする行動が強化されたという。
③いたずらが過ぎる子ども
いたずらは大人の目をひくためにする。(これは誰もが感じていることだろう。)でも、そこで叱ることが本当に効果的かどうかは、しっかりと観察しなければならない。なぜなら、叱られることも注目の一部だからだ。もちろん、叱られるからやめようと思う子もいる。しかし、日ごろから話を聞いてもらっていない子や嫌味ばかり言われている子は、叱れらてまでも注目を集めようとするのである。
いたずらをなくす方法
①無視をする。
無視をするといったんエスカレートするが徐々に落ち着いてくる。無視を通せるなら、一番有効である。(いたずらをするメリットを消去する。)
②いたずらした後のデメリットを与える。
・叱る
・別室で一人にさせる。
・ゲームやお菓子など好きなことを奪う
③日常的に注目してあげる。
・褒める回数を増やす。小さなことでも当たり前だとは思わずに褒める。
まとめ
仕事場でも家でも、言っても言っても聞かない人とはどこにでもいます。ほっとけばよいならそれでいいですが、その人のせいで不都合があるなら改善したいところです。もちろん、人を動かすための本はたくさんありますが、今回はそんな1つのアプローチです。行動分析はたくさんの論文もあるのですが、強化という専門用語をメリットと言い換えて、分かりやすいです。また、子育ては叱るより褒めるということもよく言われています。叱る効果と、褒める効果、うっとうしいときに無視をすることもあると思いますが、無視をする効果も科学的に書かれています。
同僚・後輩・自分の子どもの困った行動がどうしても治らず困っているなら、ぜひ手に取ってください。