シリーズ『おすすめの1冊』第89回です。
僕がおすすめする本や、話題の本などをご紹介していきます。
今日、ご紹介するのは、住野よるさんの「また、同じ夢を見ていた」。
『また、同じ夢を見ていた』住野 よる
あらすじ
小柳奈ノ花は小学生の女の子です。とてもかしこく、学校の子とは波長が合いません。彼女の楽しみは放課後に小さな友だちやみなみさん、アバズレさん、おばあちゃんに会うことです。奈ノ花はみんなが大好きでこのみんながいれば学校で友達はいらないと思っているのです。
隣の席の桐生くんは絵がとっても上手なのにみんなには絵を描くことを隠そうとしています。でも、桐生くんが意気地なしなので学校のみんなは桐生くんが絵を描くことをからかうのです。でも彼は何も言いません。私は絵をからかう人にも言い返さない桐生くんにも腹が立っています。
ある日、桐生くんのお父さんが万引きして捕まったという噂が流れました。そして、桐生くんは学校に来なくなってしまいました。励ましに行きましたが、励ましているうちについつい「戦わなきゃいけない!自分が動かなきゃなにも変わらない。」と言ってしまいました。桐生くんに「小柳さんが一番嫌い。」と言われてしまいました。
感想
人間関係っていうのは本当に難しいです。とくに小学生の間は考え方や感じ方に差が出てしまうと学校が本当につまらなくなります。奈ノ花の考え方は正論でとても冷静です。感情的に動く同年代とはやはり合わないでしょう。学校での友達とはほどほどにして放課後に楽しみを見つけているのはとても素敵だなと思います。でも、奈ノ花は確かにかしこいけれど、やはりまだまだ子どもなわけです。そのまま、自分のかしこさに溺れ、周りを見下し続けると残るのは空虚さだけなのです。「幸せは歩いてこない。だから歩いていくんだね。」とよく歌っている奈ノ花に早く幸せを見つけるということに気づいてほしい!とぼくは焦ってしまいました。