【シリーズ】おすすめの1冊『ステップ』重松 清

こんにちは、りゅうまです。

シリーズ『おすすめの1冊』第90回です。
僕がおすすめする本や、話題の本などをご紹介していきます。

今日、ご紹介するのは、重松清さんの「ステップ」。

『ステップ』重松 清

あらすじ

 僕は結婚3年目で妻を亡くした。娘の美紀はまだ1歳半だった。僕は男手一つで美紀を育てることを決めた。僕は妻を亡くした。義父母は娘を亡くした。美紀はママを亡くした。義兄は妹を亡くした。さみしさは一緒なのだろうか。誰が一番さみしさを抱えているのか。僕は美紀を育てていく。美紀は少しずつ大人になっていく。義父母は少しずつ丸くなっていく。妻がいた日々から妻のいない日々にぬりかえられていく。
 美紀の初登園から小学校卒業までの9年間で、僕たちはいろんな人たちに支えられながら、少しずつ前に進んでいました。

感想

 大切な人が亡くなるというテーマは『卒業―追伸―』(以下追伸)でも描いていました。『追伸』では、新しい母親に馴染めないまま大人になっていく少年の目線で描かれます。『追伸』では、新しい母親と心に残っている母親と比較してしまい、対立する描写があります。
 『木曜日の子ども』では、初めての結婚にして高校生男子の父親になるということが描かれました。
 『ステップ』は妻を亡くした夫が主人公です。1歳半になる娘、美紀もいます。美紀に母親の記憶はありません。幼稚園にあがると自分に母親がいないことを疑問に感じ始めます。しかし、美紀が母親のいないことをさみしがる描写はほとんど出てきません。(最終章に回想で数行出てくる程度です。)今回は小学校で母の日に母親の似顔絵を描くという場面が切り取られましたが、学校生活の中で美紀が母親のいないさみしさを友達の何気ない会話から感じてしまっていたことはきっとあったはずです。でも、美紀のさみしさを訴える様子は描かれていません。「僕」から見た美紀は感情的に母親をさみしがることをしなかったのでしょう。意外と子どもたちは大人に気を遣っているのです。なんとなくかもしれないけど、確かに大人の空気を感じて感情をコントロールしているのです。でも、さみしさは成長しても時間が解決してくれるものではないのです。「僕」の再婚相手も認めたいけど体が拒否してしまうでのす。さみしさは我慢できても乗り越えることとはまた別なのです。

 子どもも大人も大切な人がいなくなった瞬間はさみしく、新しい家族ができたらどうしたらいいかわかんなくなってしまう。前に進みたくない、前に進むと大切な人のことを忘れえてしまいそうになる。もちろん彼らは少しずつ乗り越えていきます。でも彼らの心情として「折り合いをつける」や「受け入れる」ではなんとなく表現が違うような気がします。もっと矛盾に満ちた感情があって完全に受け入れているのでもなく、諦めているのでもない気持ちだろうなと想像しています。でも適切な表現ができないそのもどかしさ、苦しさが、ちょうどいいのかもしれません。

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