シリーズ『おすすめの1冊』第58回です。
僕がおすすめする本や、話題の本などをご紹介していきます。
今日、ご紹介するのは百田尚樹さんの「夏の騎士」。
『夏の騎士』百田 尚樹
あらすじ
勉強も、運動もだめだめな12歳の少年3人は秘密基地で、騎士団を結成した。騎士とは、勇気と強さを兼ね備えており、レディに愛と忠誠を誓うのである。そのレディとは、有村由布子だ。彼女は、帰国子女で美人、さらには勉強もでき男子から注目の的だった。
騎士団の使命 ~模擬試験~
騎士団は、有村由布子に騎士団を結成したことと、騎士団のレディに任命したことを伝える。レディは、騎士団の忠誠をはかるべく、県内の模擬試験で100番以内に入ることを約束させた。それは県内でも優秀な小学生が受ける模擬試験で、さらに100番以内となるとトップクラスなのだ。落ちこぼれ3人には到底無理な話だが、騎士としての意地を示すべく受けることに。でも、勉強の仕方がわからず、ゲームに明け暮れる毎日に自己嫌悪が続く。そこで、メンバーの健太が3人でクイズ形式で勉強しようと提案する。
騎士団の使命 ~殺人事件~
半年前に、藤沢薫という女の子が殺害された。騎士団の使命は、レディを守ることだ。だから、レディが狙われないように、するためには犯人を捕まえる必要があった。騎士団は捜査をして犯人を捕まえることにした。
容疑者にあがったのは、妖怪ババア、柳書店のおっさん、新聞の配達員の3人。そして、夏休みにまた一人、女の子が行方不明になる。
この作品は、文化祭、事件、模擬試験などいくつかの要素がありますが、それらは点在しており、第○章と区切ることができません。そして、最後に点が線としてつながっていくのです。
感想
主人公は、3人の人物について、真実を知ります。それが、彼を大きくさせたと思うのです。知ったことのすべてが、きれいなことではなかったけれど何も知らなかった自分を恥じる姿はとても素敵だと思いました。
主人公は、自分の弱さを知っているようで、実は弱さを言い訳にしていることに気づきます。「フォルトゥナの瞳」でも、「自分なんかができっこない」と思い込む主人公が、それはやらない言い訳だったと気づきます。百田さんのメッセージなのかもしれませんね。
まっすぐで不器用な騎士団は、著者そのものなのかなと思いました。